体調が悪いなと感じた時、まずは何をしますか?
病院? 薬?
人は何かが起こった時、プラスして何かをしようとしますが、その前に自分の生活を見直すと、不調の原因が見えてくることがあります。
今回は漢方的な1日の身体のサイクル「子午流注(しごるちゅう)」を通して1日の過ごし方を紹介したいと思います。
体内時計と健康の関係に関心が寄せられ研究が進められている現在ですが、
「漢方」の世界でも体内時計に関する文書があり、2000年以上前に書かれた「黄帝内系」のなかに体内時計のことが書かれています。
漢方における体内時計のことを「子午流注(しごるちゅう)」といい
子午・・・・時刻
流注・・・・体内の血や気の流れのことを言います
子午流注では1日24時間を12等分し、2時間ごとに活発に動く臓器をあてはめています。
時間によってツボを選び高い効果が得られるなど鍼灸の分野でも使われています。
現代の時間の流れとは違うところもあるかもしれませんが、この知識があれば日々の養生に役立つこともあると思います。
目次
子午流注
それぞれの時間に担当の臓器(経絡)がいて、各自が活発に仕事をする時間、最も気がつよい時間と考え、逆に12時間後にはその臓器の気が弱くなると考えられています。
よって臓腑の不調は当番の時間帯に現れることがあり、また対面の時間帯に症状が現れることもあります。
体内時計と養生の考え方
肺の時間 3:00〜5:00
1日のスタートは肺から始まります。
呼吸が生きるための要であると古代の人は知っていたのでしょう。
西洋医学で言うと肺は呼吸するだけですが、東洋医学でいうと精神と肉体をつなぐ臓器とも言われています。
身体のからの目覚めはこの時間から始まっています。。
肺の役割:全身へ気の分配。呼吸。皮膚や喉の管理。経絡は肺から始まる
1日のスタートは呼吸からはじまります
- 副交感神経が優勢の時間は気道が細くなっているため明け方に喘息の発作や呼吸系のトラブルが出やすくなる
- 深い睡眠の時間
- 生命力が一番弱い時間帯とされる
- 起床前の準備時間、肺が全身の臓腑に「臓気」を分配する
養生ポイント
熟睡しているのが望ましい時間
朝の散歩は5時過ぎが好ましい
目覚めたら朝日を浴びて太陽の光で体内時計をリセットして一日を始める
大腸の時間 5:00〜7:00
まずは大腸の時間で朝は目覚めます。
便を体から排出することで身体の毒素を出して1日の始まり、体を綺麗にします
特に皮膚のトラブルのある方は大腸環境を整えるのが重要!!
大腸の時間を大切にしましょう もちろんこの時間に出せなくても大丈夫。1日に一度(人によります)の快便を目指したいものですね。
大腸の役割 飲食物の残渣を下に送り大便に変化させ排泄する
漢方では「天門」が開く時間と言われ天門が開くと同時に人体でいうと肛門と口が開く時間と言われている- 起きて排泄をする時間
- この時間帯に下痢をしやすいと腎が冷えて弱ってると考えられる
養生のポイント
朝起きたら白湯を飲み、大腸お動きを促し、定期的な排便習慣をつける
朝起きて排泄する。夏なら5時 冬なら7時と言われる
雑穀や食物繊維、発酵食品などを適度に摂取して、味の濃いもの、油っぽいもの、辛いもの、甘すぎるものを過食しない
皮膚は腸の鏡、デトックスしたいならまずは腸内環境を整える
胃の時間 7:00〜9:00
食物の消化がもっとも活発な時間です。朝食をとります。
朝食には体内をリセットする効果があると言われています。
1日のうちで食事に一番適した時間はこの時間!!
おすすめはやっぱり、味噌汁とご飯
消化の悪い人は具沢山のおかゆ
胃の役割 消化機能 食物を受け入れて消化して下に送る
- 朝食の時間
- 朝食をとって体を目覚めさせる時間
養生ポイント
朝食はこの時間帯に食べる
あたたかく消化が良いものがおすすめ。おかゆや味噌汁とご飯など
お腹が空かないなら夕食を見直すべき
脾の時間 9:00〜11:00
食べたものが体にめぐりパフォーマンスを上げる時間。
考えたり、集中したり、大切なことを決めたりするにはこの時間がおすすめです
脾の役割 エネルギーの製造工場 消化吸収機能で全身にエネルギーを運び、水分の代謝の調節をする
- 胃に入ったものを消化吸収して気血を生み出す時間帯
- 脾は「後天の本」気血津液(体に必要な要素)を生成する
- 頭を使うのにも良い時間
養生のポイント
午前中は冷たいものを避ける
脾は消化器の他に精神にも関係します。食事によって脳にブドウ糖が届き脳が活性化すると考えられています
朝ごはんは食べた方が良い
「心(しん)の時間」11:00~13:00
お昼ご飯を食べます。
1日でしっかり栄養をとる時間。
食後に少し寝ると良い時間。少し目を閉じたりしてゆったりと食後の時間を過ごしましょう
12時で陰陽が入れ替わるじかん。心臓を1日の折り返し地点で休めて上げることで午後も元気に動けます
食後すぐ眠くなる人は胃が弱っている人かも
心の役割 血液の循環。精神・意識。脳と関係がある
- 陽気が最も盛んな時間帯
- 体温、血圧、心拍が盛ん。
養生のポイント
陽から陰への転換を促す
昼食後は目を閉じたり軽い昼寝で心を休ませる。意識がなくなる数分でオッケー
陰陽の転換ができると体調が良くなる
激しい運動はしない、焦らない、怒らない
心が熱くなっているので心に負担がかかりやすい
1日の折り返し地点で心臓を休ませ午後からもしっかり血流を全身に流す
特に「気虚」と言われる体が弱いタイプの人は食後眠くなる人が多く、30分以内のお昼寝をすることで元気になる
小腸の時間 13:00〜15:00
小腸の役割 消化吸収機能。飲食物を栄養分と残渣(濾過した後に残るかす)に分ける
昼食を消化吸収する時間帯
養生のポイント
栄養吸収に適した時間
小腸は視覚、聴覚にも影響する。目の疲れ、耳鳴りの不調などの人は感覚器休ませる時間。昼寝をする場合は15時までに短い時間(20分ぐらい)にとどめること
膀胱の時間 15:00〜17:00
排泄の時間!!しっかりトイレに行ってきちんと出しましょう!!
膀胱の役割:水分の代謝、尿の生成と排泄。尿液により老廃物を排泄する
人体の新陳代謝が一番高い時間帯。
養生ポイント
膀胱の時間はおしっこを我慢しない方が良い
15時のおやつでお茶などを飲んでトイレに行くようにすると良い
意識的に水分を摂る
トイレに行って尿の色を確認、少し黄色が健康的
腎の時間 17:00〜19:00
昼の元気な時間から、夜の静かな時間に移り変わる時。
体はゆったりと静かなモードになっていく時間
この時間までに夜ご飯をたべおわれると翌日の胃がもたれる感覚が少なくなります。
夜は軽めがおすすめ、重いもの味の濃いものは昼ごはんに持っていくのがおすすめ
19時までに仕事や頭を使ったり、考えたりするのをやめよう!!
腎の役割:精気の貯蔵。成長、発育、生殖、エネルギーなどを溜め込む場所。
水分代謝、尿の生成と排泄を行う。
漢方の腎は腎臓だけでなく、生命力を意味する。腎を補うのに良い時間。
夕暮れ時は陰陽がゆっくり切り替わっていく時間。昼間のエネルギー溢れる時間から夜の穏やかで静かな時間に切り替わります
年齢を重ねて疲れやすい人は17時ぐらいまでに仕事をおわると良いでしょう
陰が不足している人はこの時間から不調が現れます。
だるい、熱っぽい、何もしたくない
日中のストレスが原因です
血虚の人も要注意。
血の不足は体のオーバーヒートにつながります
心包の時間 19:00〜21:00
睡眠への準備時間、交感神経優位な時間から副交感神経が優位な時間へ1日の疲れを癒す時間。ゆったりとお風呂に入ったり、音楽を聴いたり、マッサージしたり、夜にやる静かなヨガをやったりしながら心穏やかにする時間
心包の役割
心臓の外側にあって外から悪いものが入ってこないようにガードして心が穏やかに保てるようにしています
陰気がかなり増えているので、ゆったりと和やかに過ごす時間帯
この時間に喧嘩したり、怒ったりしない
楽しいことを考えたり、したりするとよい
夜ヨガ、静かな音楽、楽しい会話、お風呂、アロマ、呼吸、全ては1日お疲れ様の自分を癒す時間。
激しいゲームや映画、音楽など脳が興奮するものは見ない
照明を落とす(快眠には30lルクスぐらいが良いとされている)
三焦の時間 21:00〜23:00
昔なら電気もなく真っ暗、万物の休む時間。特に消化器系を休ませる時間。
お夜食や遅いご飯はこの時間はおすすめしません。
おやすみまでの癒しの時間
23時までにベッドに入るのが理想です
三焦の役割 気と水のめぐりを全身に届ける器官。水分代謝のコントロール、元気を全身に運ぶルート
養生のポイント
頭を使わずぼーっと過ごす。頭の血が下に降りてくるようにする。
目・耳・脳の活動を鎮める
マッサージ、ストレッチ、瞑想など。
胆の時間 23:00〜1:00
深夜12時は陰の気が一番高くなる時間。この時間に寝ていることが明日への元気につながります。血を増やし、癒され、心が休まり、臓器を休めるのは生きる上で一番大切かもしれません。
「胆の役割」は西洋医学的には胆汁を貯蔵・分泌し、消化を助ける臓器
- 陰の気が最も強い時間
- 胆力(物事を恐れたり驚き慌てたりしなくなること)を養う時間
養生ポイント
- とにかくこの時間は睡眠をとること!!
貧血の人、血が不足している人は必須に寝る時間 - 陰の時間帯は陰の行動をすべき時間。静かに休むべき時間帯なのです
- 24時は切り替わる時間、この時間にしっかりと休むと次の日の活力が補われます。逆にこの時間にしっかり寝ないと翌日疲れやすくなったり、心の状態もびくびくしたり、判断できなかったりと生活のパフォーマンスも下がります
- 胆の働きが低下して消化力が低下す流ので消化不良の原因になります。
この時間は食べないことが重要です
肝の時間 1:00〜3:00
「血」を増やすのに一番大切な時間はこの「肝」の時間です。
さらに解毒器官でもあり、添加物、疲労物資、体に溜まったいらないものを身体の外へしっかりと出すために「肝」が元気であることが本当に重要です。次の日に疲れを溜めいためにこの時間は熟睡できていることが重要です。
「肝の役割」:血の貯蔵 血の分配 血の調節 気を巡らせる
- 血が肝に戻る時間帯
- 解毒の時間
養生ポイント
血流にとって最も重要な時間、全身の血流が肝に集まり、汚れをきれいにして浄化します。肝臓の修復の時間帯でもあります
夕食の時間が遅いと肝の時間帯にちが胃に行き肝は血不足となってしまう
寝てないと翌日イライラ、頭痛、目の充血や目のトラブル、血不足による症状がでます。
そして、解毒ができていないので疲れが抜けない
まとめ
1日の流れというのはいたってシンプル、朝起きて活動して夜になったら寝る。
陽の時間に元気に動いて、陰の時間にゆっくり休む。
現代は夜も昼もわからないくらい、やることがいっぱい、明るさもいっぱい
若い時はそれに対応できるかもしれません。
でも、もしあなたが不調だったり、身体の少しの異変があったり、情緒不安定だったり
今の自分、健康なのかな?健康じゃないかも
と思ったら、一度基本に戻る生活をしてみるのもいいかもしれません。
お金もかからないし、薬も飲まないし、ただ生活を見直すだけできっと体はリセットされて元気を取り戻すと思います。
初心に戻ることは何歳になっても大切なことだと思います。